2007年 12月 07日
冬の信仰行事―カマド神について―
今日の日常生活に使われる火を考えてみますと、今では簡単にマッチを擦れば得ることができ、ガスを使い、また、IHヒーターで調理する時代である。しかし、かつては火種を得るのは容易ではなく、前夜の残り火を上手に熱灰でおおって翌日までもたせ、いつでも火をおこせる状態に管理しておく「火留め」の技術が、生活の中では当たり前であった。
そして、そこには、竈神が家の神として家族を守り、人の幸福や寿命を司り、生活全般にわたって恩恵を施してくれる神として祀られていた。
その竈神を敬い祀る風習は今もなお受け継がれ、生活のスタイルが便利になろうとも、年の境や季節交代の日に執り行われているのが竈祓いの神事である。
『コウジン(荒神)サマ、オクドサン、オカマサマなど、地方によってことなるが、日本の台所にもカマドの神さんがいた。古代ヨーロッパでは、カマドは神聖なところとされ、食事ごとにカマドにお供えをした。火を神聖視する風習は世界各地にあり、家庭における火の座で、家族の食事をつくるカマドに、家の守護神が宿るされたのであろう。』{石毛直道・御食国若狭おばま食文化館名誉館長 福井新聞より}
参考文献;竈神と厠神 飯島吉晴
絵図;年中行事図説 柳田国男監修 民俗学研究所
渉外広報委員; 杉坂 眞