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福井県神道青年会(ふくいけんしんとうせいねんかい)

「東日本大震災」災害復興支援活動

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 6月27日(月)・28日(火)の両日、福井県神道青年会の10名の会員(吉田・糟谷・坪田・宮川・榊原・松田・宮田・山本・新田・松村)が、福島県いわき市久ノ浜町に入り、災害復興支援活動を行いました。
 27日の早朝、福井県護国神社に集まった当会会員は二台の車に乗り分け、午前5時に出発、北陸道・磐越道・常磐道と経て一路いわき市へ向かいました。途中、食事・休憩の時間をはさみ約8時間に渡る長旅です。乗り合わせた会員は運転を交代しつつ、昼過ぎにはようやく現場であるいわき市久ノ浜町に鎮座する諏訪神社(高木美郎宮司)に到着しました。現地に入ると直ぐに福島県神道青年会の佐々木副会長をはじめ会の方々が出迎えて下さり、以降二日間福島神青の指示を仰ぎつつ行動する事になります。又、現地には既に一都七県の関東の神青会員が作業を行っており、南相馬市には北海道の神青が復興支援活動で入っています。
 早速、諏訪神社前にて開始式を行い、諏訪神社高木優美禰宜の案内の元、神社周辺地域の視察を行いました。海岸沿いの家々は地震・津波の影響で倒壊し無残な状況を呈していました。震災の影響で火災が発生した箇所も見受けられました。しかし3月の災害発生時から随分経った現在まで、いまだこの様な姿が広がっている実状は、この地域が原発から31キロしか離れていない事によるもので、多くの住民は避難を余儀なくされている現実がそこにはありました。高木禰宜の話を伺いながら、震災発生時の大変さは当然として、それ以上に先の見えない将来に対する強い不安を感じずにはおれませんでした。町の、そこに住んでいた住民の、そして地域の要たる神社の未来が見えないのです。その中で、高木禰宜をはじめ福島神青の方々から、神職という立場の中、今出来る一歩一歩を進めて行こうという意志も感じることが出来ました。
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 視察の後いよいよ復興支援活動の開始です。我々は福島神青の指示の元、諏訪神社近所の某家での「家財道具の分別撤去作業」を行いました。元来、人は他人が家の物を触る事に抵抗がありますが、そこは地元の神社である諏訪神社が責任を持つということによる信頼関係で、作業する家の人に任される仕事です。泥がついたまま長期の放置を余儀なくされた家で、廃棄する物を可燃・不燃・ガラス陶器・電化製品・木材・泥……等に細かく分けて行くのです。我々はごちゃごちゃに散乱しているそれらを分別し運び出し、場合によっては解体し、家の前に集めて行きます。そうして集められた膨大な廃棄物は、業者がトラックに積んで運んで行きます。この作業は引越作業の様に、単純に物を運び出す作業ではありません。作業中、先ず臭いが気になります。家財道具が海水に浸かって数ヶ月放置されているのです。特に台所周辺は冷蔵庫は当然のこととして、引き出しの中にも海水が溜まっていて異臭を放つのです。作業中は皆、マスクをしていますが、この臭いを防ぐ事は出来ません。その状況の中で、我々は黙々と作業を続けて行くのです。
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 夕方4時にその日の作業終了、5時にホテルパームスプリングにチェックイン。入浴、着替えを終えた後、「松本楼」へ移動し7時から「勉強会」並びに「懇親会」を行いました。勉強会では福島神青の佐々木副会長や田村理事・山名前会長、そしてこの日、来ていました兵庫の山西先輩に大変有意義な様々な話をしていただきました。実体験の伴ったその方々の言葉には、それだけ力があり、福島神青の皆様がされている苦労や悲痛な想いが伝わるようでした。双葉郡支部の初発神社禰宜の田村貴正理事の震災当日からの日々の体験談から、現在強く抱いている「この先の見通しが、今一番欲しい」と仰られたその言葉に間違いはありません。佐々木副会長の、人の心の問題や、そこから紡がれる人間関係の話もありました。山西先輩の被災地住民の何でも与えられる現状の先にある、各人への自立支援と見守り活動の大切さも理解できました。山名前会長の話から参加者一同、全国にある神青協の友情、ネットワークがいかに大切かを再確認するも出来ました。その後、吉田前副会長の乾杯により、会員各人の親睦を深める懇親会に移りました。懇親会では、代表の方々だけではなく、参加者各々が色々な会話を交わすことで更なる勉強になりました。
 翌28日は、午前8時15分にホテルをチェックアウトし、9時から昨日の「家財道具の分別撤去作業」の続きです。昨日の作業終了時からずっと思っていたのは、折角福島まで来た以上、昨日から取り掛かっているこの家だけは今日中に全部終らせたいということ。雨天での作業を覚悟していたにもかかわらず、この日は晴天。我々、福井神青の参加者は、天気の恩恵も受けつつ、その思いを抱きながら作業を続けました。そして、諏訪神社境内での昼食をはさみ午後2時には、何とかこの一軒だけは分別作業を終らす事が出来ました。
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 その後、午後3時に終了式を行い、福島神青の皆に見送られながら諏訪神社をあとにし、いわき市内の銭湯で入浴後、福島に別れを告げました。帰りは来た時と同様に、交代交代で運転をし、福井県護国神社に着いたのは、日も変わって29日の深夜0時半でした。
 今回、この福島での災害復興支援活動に参加して実感したのは、こうして最後まで無事活動に奉仕できたのも、福島県神道青年会のしっかりした受け入れ体制によるものであることは確かです。そして実際現地で感じたのは、震災から数ヶ月を経た現在まで予想以上に復興が進んでいない現実と、町が元の姿に蘇るまでは、まだまだ長い時間が必要であろうこと。今回はたった二日の手助けで、ほんの一軒の家財分別作業を終らせたに過ぎなく、同じような家が数多く手付かずであること。終了式で我ら福井神青の吉田会長が言ったように、福井神青は被災地の方々に笑顔が戻るまで、積極的な支援活動の手を緩める事はありません。
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追伸:
 二日目の晴天で、諏訪神社から望む太平洋は、震災があったことなど考えられないくらい、外見上はとても美しい海でした。我々の福井県は、十数年前にナホトカ重油流出の被害により、当時は黒い無残な海となりましたが、現在は完全に復活した日本海と共にあります。どんなに遅くとも明けない夜はありません。
 がんばれ東北! がんばれ日本! そして、一日も早い被災地復興を心から願いつつ。

【渉外広報委員 松村典尚】
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by fukuishinsei | 2011-06-29 21:00 | 活動の報告