2009年 12月 10日
絵馬について
奈良時代の『続日本紀』では、神の乗り物としての馬が奉納されていたことが記されています。しかし馬は高価であり、奉納された神社の方でもその馬の世話をするのが大変であるために、次第に木や紙などで作った馬の像で代用するようになり、平安時代から板に描いた馬の絵が使われるようになりました。
更に時代が進むと、馬以外の絵柄が描かれるようになり、祈願の意味を込めて奉納されるようにもなりました。鳥やトラなどの動物のみならず、神話や歴史的出来事の人物・一場面を描いたものもあれば、風景を描いたものまで、そのバリエーションは多岐に渡ります。北前船の航路に当たる海辺の神社には、北前船が描かれた船絵馬が多く見られ、絵馬がその地域性を表すこともあります。
変り種では池とかにいる魚のナマズの絵馬。これはかつて遊郭が近くにあった場所で見られ、ナマズといわれる皮膚病の一種の平癒を遊女が祈願し奉納したものであります。
絵馬にはそれを奉納した人々の様々な想いが込められているのです。
新しい年を迎え、多くの参詣者が神社に訪れ、色々な縁起物を手にする事と思います。今回は、そんな縁起物の一つの「絵馬」に関する話でした。
【松村典尚】